和太鼓奏者の林田ひろゆき氏よりメールを頂いたので紹介します。
「担ぎ桶の演奏で指が痛い」ということに関して
どの指が痛いかも気になります。 それによって正しいのか誤っているのかが判断できるからです。
まず、右利き左利きに関係なく、右用のレギュラースタンスで演奏される方を基本として言うと、右手が痛くなることはほとんどないと言って良いです。
右手のグリップについては、関節等に負担が掛かることはほとんどないからです。
左手についてですが、これは指ごとに解説します。
まずは、親指。親指の付け根、または付け根から5~10mmほど親指側の指が痛い場合には、握りしめすぎの恐れがあります。
皮が剥けるのは通常なことなので問題はありませんが、皮膚の奧が痛い場合には要注意。最悪、ガングリオンが出来る場合があります。
その他の部分が痛む場合は、握り方が悪いと言えます。
次に人差し指。通常は人差し指が痛むことはありません。
たまに指の中指側の側面が痛む方がいますが、明らかにバチの握りすぎです。
かつぎ桶太鼓の場合、この左の人差し指が支点になり、比較的グリップでは重要な役目になりますが、あくまでも握りすぎは禁物です。
次に中指。この指は実際には痛むことがないようにしたいのですが、初心者や慣れていない方は薬指側の側面が痛む方が多いようです。
原因は、中指と薬指でバチを握ってしまうからです。中指と薬指は常にルーズにしておかなければなりません。
ピアニシモのような小さい音を出す時のみ、少しばかり握ります。
次に薬指。この指が一番の問題の指です。まず、バチがこの指のどこに当たっているかを確認しましょう。
正しく当たるべき所は、第一関節と第二関節の間(中節と呼ばれる部分)であり、それも比較的第一関節に近いところです。
よく第二関節の上ぐらいにバチが当たっている方をよく見かけます。これは全く良くありません。
最悪な場合は、第二関節と指の付け根の間(基節)で挟んでいる状態。これは論外です。
原因は、拳の関節(中手指関節、一般に言うナックル)が曲がっていることです。この関節は曲げません。
曲がるのは第一関節と第二関節が緩やかに曲がるだけです。
基本は、バチを握った時に人差し指以外の中指・薬指・小指が段差ができずに綺麗に並んでいる状態です。
最後に小指。小指は痛くなることはあり得ません。常に薬指とワンセットでコントロールしていきます。
ただし、僕が提唱するコーリアングリップの時のみ、例外になります。
コーリアングリップの際は、バチが中指と小指の間に来るようになる為、中指の問題が小指に移ります。
いずれにしても、指が痛いのは正しいグリップを心がけて、バチの軌道も正しくし、フルストロークではなくタップストロークでよいので毎日5分程で構いません。
トントンと気長にやって下さい。 毎日、少しずつが理想なので、自宅での練習になると思います。
その際、太鼓がなくてもまくらでも雑誌でも良いので、イスの背もたれにテープなどで固定して軽く叩いて下さい。
グリップが安定してくるのが解ってくるはずです。
くれぐれも太鼓で思いっきりドンドンとフルストロークしないで下さい。
元に戻ってしまう可能性が高いからです。
身体に正しいグリップと軌道を覚えさせるまでは、まずは小さく充分にコントロールできるストロークからです。
スキーに例えても、慣れていない人で山の頂上から滑る人はいないですよね。緩斜面からです。
また上達しないのはやり方を変えれば、よほどではない限り上達します。
方法を知らないだけです。
機会があれば、僕のワークショップに参加してみて下さい。
かつぎ桶太鼓で答えられないことは、ほとんどないかと思います。
林田ひろゆき
http://www.hiroyukihayashida.com/
Since2010/10/27